「英語が好き」は「英語ができる」なのか

2020年11月20日発行 第102号(2020年12月号)

習い事というのは、人の出入り(入会や退会)が日常茶飯事で、そのことに一喜一憂していると心がもたない。それでも、入会での新しい生徒との出会いにはワクワクするし、退会による生徒との別れはとてもさびしい。お引越しや卒業にともなう、やむをえない退会ならあきらめもつくけれど、「塾の方へ行きます」と、2択で選ばれずに退会となった時などは相当に傷を引きずる。

コアの英語は楽しくない。このままコアに来ていると、英語が好きでなくなる。だから、コアをやめたい。英語は好き。塾の英語は楽しい。

そう言って、塾で英語をがんばることに決めて、中学生が退会していった。正直、「コアの英語が楽しくない」と言われたのは初めてのことだったので、かなりショックである。退会前にはお母様と懇談をし、本人の様子を伝え、思いを伝えたが、本人の意思は固く退会となった。退会時にお母様からは丁寧なメールをいただいた。

英語を好きになるきっかけは、小5から通い始めたコアです。

この言葉は大変うれしく、癒された。”英語を好きになるきっかけを作れたということだけでもよしとしようではないか!”と開き直ろう、とも思った。

けれど、くやしい。残念すぎる。

英語は中学へ入ってからが勝負だ。中1で退会してしまうと中途半端すぎる。中途半端どころか、これからが正念場、ほんとうの「楽しさ」は中学生という苦しい期間を乗りこえてこそ感じられ、得られるものである。

”英語が好きでなくなる”という言葉に、そうだよな、好きでないと続かないもんね、と思う一方で、好きだったらできるようになるのか?!と反論もしたくなる。実際、過去の生徒たちを見ても、「好きで、なおかつできる」「好きだけど、できない」「好きではないが、できる」「嫌いで、できない」と”好き”と”できる”の組み合せは、それぞれのあいまいな領域を合わせると、ほんとうに様々である。

先日も、「学校の成績も1番か2番で、英語も好きで楽しく勉強しているのですが、どうも本当に英語の力がついているような気がしなくて…」とご自身に英語力があるお母様が体験レッスン申込の際におっしゃっていた。

コアの生徒には、ある意味、達観して…(大げさか)…「おれは(わたしは)、英語に関しては頭一つ出てますからっ!」と(心の中で)言い切れるくらいの位置にまで到達して、ほくそ笑んでほしい。「別に好きではないけど。」と言いながら圧倒的な英語力を見せつけてニヤリとしてほしい。そんな思いを込めて毎日指導している。そう、本物を目指してほしい。

ほくそ笑むために必要なものは、日々の努力しかない。

中学生も、高校生も、部活や塾、その他習い事で忙しい。コア英語教室での学習における「音読」という宿題は、日々においては、目に見える”やってる感””できるようになった感”が少ない。少ないどころか、そこそこ音読に時間をかけたと思って、授業で音読を聞いてもらうと、先生からがっつりダメ出しをくらう。そりゃぁ、やる気がそがれるだろう。

けれど、先生からの毎週の音読課題を、ため息をつきながらもこなしているうちに、相当な力が身についていく。筋トレ同様、日々の変化は分かりにくいけれど、毎日やれば、3か月後、半年後、一年後と確実に変わっていくのだ。継続してやり続けたことが成果を生んだ時、つまり、音読を続けているうちに、単語を覚えやすくなってきたり、学校の成績が上がってきたりしたとき、ぜひ、心のなかで”ニヤリ”としてほしい。

このままの成績やったら塾をやめさせられるんです…

と、別の生徒が言う。まだ傷も癒えていないのに、またか!…え?でも、この前の定期テストのあの成績は今回の期末で挽回可能なものばかりだよ!基本がわかっていない減点ではなかったじゃないの!とあせって言い返すと…

あ、英会話はやめさせられないですけど、数学が…

あぁ、数学か…心臓に悪い。

それにしても、彼の中ではコアは”英会話”教室なんだ…へぇ~。同じように指導していても捉え方は色々。”英会話”ととらえている彼にとっての英語は、まだまだ未熟ながらも言葉としての英語であり、揺るぎない英語力、ほんとうの英語力へと間違いなく進んでいっている…と思うのだが…

とりあえず、期末、がんばれ!