最近、音読クラスに入会してくださった女性。
学生のころからずっと英語になじめず、見てみないふりをしてきたとのこと。決して英語の勉強ができなかったわけではなく、”なじめなかったのだ”と。
基本的な文法は理解できているし、ある程度の単語の意味もとれる。たしかに、できなかったわけではないようである。
ただ、少し長めの英文を訳すと、日本語での解釈が優先された部分が見えだす。単語の意味をとって、自分の納得のいく、日本語的に座りのよい、文章の流れに沿った訳に寄せる、のである。
ここが落とし穴である。
ここが、”なじめなかった”最大の理由、いや、最大の理由は音声にあるだろうから、最大から2番目の理由であると私はにらんでいる。語順をおろそかにし、単語の意味にたよるのだ。
彼女はとても勉強熱心で、よく質問をする。
「ここの発音は○○ということですか?」
「こういう場合には、○○ですか?」
実のところ、「そういう質問を待っていたんです!」というような、生徒さんの成長を感じられるうれしい質問はまだ届いていない。
私自身もそうだったのだが、
英語を学習する上で、学びなおしの最初のころは、細かい発音の違いや、細かい文法事項にばかり目が行っていた。そうすると、早々と英語学習はつまらなく、そして重荷になり、息切れしてしまうのである。
初心者は、なにも考えずに、ひたすら繰り返す、に限る。
ひたすら英語音声CDのマネをしてリピート、そして「語順通りに訳す」ということをただただ繰り返すうちに、英語の音が、英語の語順が定着し、疑問を持つ箇所が「なかなか、いいところを突いてるね」というような、WEBサイトへ多くの人が質問を投げかけるような、ネイティブに聞いてみないと真意がわからないような、そんな、ちょっとかっこよさげな質問が、湧いてくるのだ。
英語の語順になじむ、ということは英語学習にかかせないのである。
そんなかっこいい疑問が湧いてきだしたころに、音声にも自信がでてくるのである。流暢とかぺらぺらとか、そんなものではないけれど、簡単な文なら、単語のわかる文なら、どんな文でも初見で英語らしく言えるという感じの”自信”がでてくるのである。
こうなると、英語学習はますます楽しくなり、日々、ごはんを食べるように継続するようになる。…はずである。
先に登場の女性のお母様は、音読クラスにもう8年近く通ってくださっている。8年間にこなした英語物語は8作品。今、9作品めのシンデレラに取り組んでいる。毎作品、「音読+語順訳」の授業の繰り返しなのだが、前々分の作品から、作品の感じ方が違ってきていると話される。
「物語の場面が浮かぶので楽しいです。」
この言葉に並行して、時々行う文法説明に抵抗感なく入っていけるとの発言もあり。英語学習の王道をコツコツ歩んできた人だけが味わえる感覚である。
こどもも、大人も、この領域に導いていきたい。コツコツ、コツコツ。