低年齢での英検準1級受験について

どんな教科においても、学習の過程において自身の成長は気になるものです。学校では定期テストや実力テストなど、折々に学習の習熟度合いを測る機会があります。

なぜか、英語学習においては、検定で実力を測るということが盛んにおこなわれていて、「○○ちゃんが△△級とったそうよ。」などと聞くと、なにか、その級をとらなくてはいけないような気持になってしまいます。中学受験や高校受験の際に英検取得級による優遇などもあり、英語検定熱は過熱する一方です。

英語検定は、本人の学習への意欲が上がるのでしたら大いに活用すべきだとは思うのですが、ただただ上を目指すことだけを目的にして、低年齢のうちに上位級を受験させるのは、ちょっとどうなのかな、といつも思います。英検なんて、いくつになっても挑戦できるのに…小さいうちにしかできないことって、他にもっとたくさんあるのに…と。

本人が目を輝かせて、準1級取りたい!挑戦する!と意気込んでいるのでしたら、それは英語力を飛躍的に向上させるチャンスにもなりますので、大いに応援してあげてください。本人が自ら望んで高い目標を達成することは、自己効力感を高め、困難に立ち向かう力をはぐくむ良い機会になるかもしれません。

けれど、小学生など低年齢の子どもたちの中に、友達との遊びより英検準1級をとることを楽しみに思う子どもがどれほどいるのでしょうか。

それを考えると、親の考えでとらせる上位級は子どもにとってデメリットのほうが多いような気がします。

英検準1級の試験に出題される社会的問題や政治的テーマは、大学生でも難解と感じる場合があり、一般的な小学生にとってはさらに理解が難しいでしょう。英語力があっても、その内容を深く理解し、自分の意見を持つことは難しいかもしれません。この点で、単に「英語力が高い」という証明にはなっても、実際の内容理解や批判的思考力が伴わない結果になりかねません。

また、小学生がこのレベルの試験に挑むことは、彼らに過度なプレッシャーを与える可能性があります。特に親からの期待が高すぎる場合、精神的な負担が大きくなり、ストレスや不安を感じる原因になるかもしれません。幼少期に過度な競争を強いられることは、学習意欲の低下や自己評価の低下につながるリスクもあります。

そしてまた、英検準1級に合格するための勉強に集中しすぎると、他の学習や生活体験が犠牲になる可能性があります。小学生の時期は、学問だけでなく、友人との交流や遊びを通じて社会性を養うことも大切です。英語学習に時間を割きすぎることで、他の重要な成長の機会を逃す可能性があります。

子どもの論理的思考は乳児期から芽生え始め少しずつ発達していき、7歳ごろからは、他者の立場に立って考えるということができるようになりますが、抽象的なことや仮定的な概念についてはまだうまく考えられません。

このような、子どもの成長の過程を考えてみても、英検準1級の問題が低年齢の子どもたちにふさわしいとは思えません。

本物の英語力を身につければ、将来きっと、子どもたちの進路に大きく幅を持たせていくことになるでしょう。けれども、英語はあくまでもツールにしか過ぎません。今この、子ども時代にしかできないことをしっかりと経験していくことが、英語というツールを100%使いこなすための基礎力になることは間違いないと思います。

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