劇発表をするということ、それは能動的な活動なのです。

2020年12月20日発行 第103号(2021年1月号)

小学低学年(2、3年)クラス

コア英語教室の小学低学年クラスでは、物語の英語音声部分を暗記し、劇発表をするという一つの流れがあります。高学年クラスのように「英語を訳す」という学習はなく、ひたすら音声に向き合い、マネをして言うことが学習の中心です。マネっこの暗記なのですが、その暗記している音声は、お話の中の登場人物が誰かに向けて語る”ことば”であり、そしてまた、CD音声の主(声優)が聞き手(生徒)に向けて語っている”ことば”でもある、ということ、ここが重要です。

さて、誰かに向けて語られる物語の、いきいきとしたことばを覚えて劇発表に仕上げる限りは、クラスを複数人数でやる方がより活気があり、臨場感がでます。現在の水曜低学年クラスは、その恵まれた環境にあるクラスです。現在、5名の小3生で学習しています。

三びきのやぎのガガラドン、テキストとワークブック

ある日のクラスで…

「12月16日に発表会するよ、いいかな?」

『三びきのやぎのガラガラドン』の劇練習も進み、”そろそろ劇発表ができるな”というところまで来ていたので、皆に声をかけました。

「うん!いいよ!大丈夫。」と、3人。

「えー!むりーっ!絶対むりー!」と2人。

できる!大丈夫!と声をかけ、反対していた2人を説得。ほっとしたのもつかの間…そのうちの1人が泣きだしてしまいました。「できていないところはあと少しだけだよ。」と声をかけ、授業終了後、しょげた背中を見送りました。

さて翌週、かれは見事に復活!

自分のセリフをしっかり覚えてきました。お父さんに手伝ってもらったとのこと。先週とはうってかわった自信に満ちた表情で劇練習にとりくんでいました。

ほっ。

っとしたのもつかの間、先週、「むりー!」と反対していたもう1人の様子がおかしい…反対派の同志が、1週間で「大丈夫組」に入ったのを目の当たりにし、プレッシャーを感じたのか……泣きだしてしまいました。(汗汗汗)。帰り際に、少し読み練習をし、「ほとんどできてる、いけるよ。」と声をかけ、不安げな背中を見送りました。

翌週、かれも見事に復活!

自分のセリフをしっかり覚えてきました!!小さな妹相手にセリフを練習していた、とお母様から聞き、胸があつくなりました。

見えないけれど、大事な経験をつむ子どもたち

実をいうと、大丈夫組の3人も、号泣とまではいかないまでも、プレッシャーに、そして、自分の発表を悔いて、涙ぐんだことがありました。

一つの物語をみんなで完成させるという発表会のなかで、役割を分担してことばを発する一人の役者という責任をおい、その責任を果たすというプレッシャーとたたかい、目標に向かいます。この経験は、先生や親から「やりなさい」と言われて、やる。それだけに終わらず、その一歩先、自分で自分の立場を考え、そして自らの意志で行動するという、もう一歩踏み込んだ能動的な経験を含みます。

自分自身と本気で対話したからこそ、涙が出るのだと思います。

講師も、日々経験、勉強

今までは、低学年の劇活動をどちらかというと軽く、「英語の音に親しもう」程度のものだと捉えていました。高学年の4年生からの「語順訳と音読」こそがコア英語教室の真骨頂、本番、売り、だと思っていました。

今回の”涙”に出会い、劇発表がとても重要な能動的経験だということに気づきました。この”能動的経験”があるからこそ、「語順訳と音読」を下支えする”自分で学べる力”が育つのだとわかりました。観ている人に向けて語ったナレーションや、トロルやガラガラドンになりきって覚えたセリフこそが何ものにもかえがたい宝物である、と思います。

涙くんたち、ありがとう。

ガラガラドンの劇発表、楽しみにしています。がんばって。これからも君たちの成長を見守っていきます。

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