英語多読・精読のすすめ

2020年6月20日発行 第97号(2020年7月号)

The Little Princeを英語で読んでみる

7月を前に、社会がそして私たちの生活が、日常を取り戻そうと活気づきだしました。学校も通常授業再開、都道府県境をまたぐ移動も、全面解除となりました。夏の避暑地のホテルはすでに満室続出だとか。まだまだ気の抜けない状況の中、お出かけもいいですが、クーラーのきいた部屋でどっぷり読書にひたる夏もいいのではないでしょうか。今回は、英語学習を大いに助ける“英語多読”についてお伝えいたします。

多読とは、英語で書かれた本を“楽しんでたくさん読む”ことで、英語を「読める」ようになるだけでなく、「聞く」「話す」「書く」も含めた総合的な力を伸ばすことができる、という英語学習法のひとつです。

辞書を引き引き、何時間もかけて1ページを読みきる…なんてことでは、とても多読はできません。以下を頭に置き、まずは書籍選びから始めます。

1、辞書は引かない

2、わからないところはとばす

3、つまらなくなったらやめる

酒井邦秀考案

上記をまとめて、”速く読める”ということが重要です。

上記1、2を守りながら読み進めるためには、7~9割程度理解できる書籍を選ぶことが必要です。

「やさしいもの」から始めましょう。「やさしいもの」というのは「スラスラ読めるもの」ということです。 書籍に記されている”英検3級程度”などという目安を参考にするのではなく、中身の英文に目を通し、スラスラ読めそうだと思えるものを選びましょう。

そして、上記3にならぬよう、興味のあるもの、楽しく読み続けられそうなものを選んでください。

幼児向けの英語絵本はやさしい本かといえば、そうでもありません。文は短くても、英語学習の初期段階としては馴染みのない単語が使われていたりしますので、多読初心者はグレイデッドリーダー(Graded Readers=GR)と呼ばれる、英語学習者向けの書籍から選ぶのが無難でしょう。(LR=Leveled Readers は、英語を母語とする幼児~小学生向け)

さて、前号 「天満校だより」でご紹介の”星の王子さま”の英訳本について。

フランス語からの英訳本があります。書店でパラパラと目を通し、読めそうなら是非こちらを、難しいと感じたなら、GR版の星の王子さまから始めてみましょう。IBCパブリッシングよりレベル2(toeic400~500点、英検3級目安)書籍として出版されています。

そして、「たくさん読む」という一方で、一作品を「何度も読む」ことにも目を向けてください。一度目は黙読で、二度目は音読で、三度目は情景を思い浮かべながら…回を重ねるごとに、使用されている語彙等の意味を深く味わえ、モノクロだった物語の世界が二度目、三度目と重ねるうちに色鮮やかな世界へと変わっていくのを感じられることでしょう。こうした精読により、英語の世界は広く、深くなり、ますます英語を楽しめるようになります。